留学生からのメッセージ①

足立 竜也さん

グローニンゲン大学、原子核物理研究所(KVI)に2009年2月より2年間、研究員として勤務していました。KVIは大学の研究機関が集中しているZernike(ゼルニケ)キャンパスの北端に、大阪大学研究教育センターから歩いて10分程の場所にあります。

 所 属していた研究グループでは、ドイツの重イオン研究所(GSI)で将来計画されている実験に必要な装置の設計、開発をしています。目的は今まで研究するこ とが不可能だった自然界に存在しない不安定核の核構造を調べることです。欧州の多くの研究所がGSIでの色々な計画に携わっておりKVIもそのひとつで す。検討中の計画に、電子と不安定核の衝突、散乱実験があります。電子散乱は核構造を正確に知る上で強力な実験手法です。実現には新しい磁気分析器の設計 が必要で、KVIが引き受けることになり着手する若手の研究者を求めていました。私の前所属の阪大の核物理研究センター(RCNP)と長年交流があるので すが、議論と相談の結果、私の採用を決めました。

 渡蘭した当初は言語の問題は無論ですが、それ以上に考え方と行動の違いに戸惑いました。 またKVIから研究内容の面での支援が難しく、さらに2年間という時間内で研究を成功させなければならないプレッシャーがあり、苦しい状況からスタートし ました。それでも、グローニンゲンで過ごして少しずつ研究を進めていくうちに、スタッフや学生さんは良い人達ばかりで、困ったときに助けて頂きました。最 後には論文の目処もたち、次の職が決定した時には一緒に喜んで頂き、研究者としての交流を今後も継続できるのは嬉しいことです。また、下宿先の大家さんに も最後まで助けて頂き本当に感謝しています。

 研究以外では、自転車環境が整備されているので事故にさえ気を付ければ快適なこと、街並みが コンパクトで運河、跳ね橋、船など日本では見られない風景が見られることは気に入っています。夏は夜の10時頃まで明るく、治安が良いので外で飲むと楽し いです。また冬の厳しい寒さが終わった後にチューリップなどの花が咲く春になると素直に感動します。難点はアムステルダムや空港まで電車で2時間半かかっ てしまうこと、怪我や病気などの緊急時のことを考えると不安を感じてしまうことです。

 最後になりますが、センターを通じてグローニンゲンに短期・長期滞在している別の分野、別の大学の研究者や学生さんを御紹介頂いたことは、自分の見識を広める上で貴重な経験だったと感じています。